The Southern Sea

南部の海

イクサ・ランビアス・メルローと彼女の夫、クリスティアン・メルローはチリで暮らすプロ・サーファーであり、プンタ・デ・ロボスで『Cripta Imagen』というサーフ・フィルムのスタジオを運営している。世界中のまだ見ぬ海岸を探索するスピリットに基づき、私たちは2人を太平洋のチリ海へと招待した。今回のOdysseyの旅は、『Sperry 7 SEAS』シューズと共に航海し、未体験のサーフィンに挑んだ夫婦の記録である。

イクサ・ランビアス・メルローが語るストーリーは、以下のビデオをチェック!


瞳を閉じると、私はいつでもあの海を見ることができるし、海岸に打ち付ける波の音を聞くことができる。あの世界では風を感じ、肌は生まれ変わったかのようにリフレッシュし、鳥たちは勝手気ままに美しいハーモニーを奏でているのだ。——————

航海では船が波に合わせ、空に向けて上昇し、また海面に向けて下降していくという、波の「リズム」を感じられる。ロス・ムエルモスへの地図を確認すべく、船のキャビンにはクルーたちがコーヒーを片手に集まっていた。それは、クリスティアンと私が安全に船から上陸し、チリ海を味わい、満喫し尽くすために必要な作業のようだった。

私たちは、波の大きさやパワー、潮の流れ、そしてアンカー(錨)を下ろすのに適した海の深さについて、キャプテンと話し合った。事前に入念な計画を立てOdysseyの旅に臨んだつもりだったが、この旅のルートは彼の助言なしでは決められない。臨機応変に、私たちはその場その場で計画を練り直すことにした。



船がエル・センティネラを通りかかったとき、私たちはデッキに飛び出した。もちろん「ラス・トニナス(※アルゼンチンの有名なリゾート地)」をひと目見たいという気持ちもあったが、本当の目的は南半球の水域に生息するイルカだった。私たちは、このタイミングでイルカの群れが船の進路に沿って泳ぐということを知っていたのである。

チリの長く広大な海岸は、都市から遠く離れている。海岸沿いの小さな村や町に住んでいるのはほとんどが漁師で、彼らは海の恵みに頼って生活しているという。私たちの船は、都市部の人々がめったに訪れないチリ海岸にやって来たようだった。



私は夫のクリスティアンと、この国の美しさについて語り合った。太平洋がアンデス山脈の全域へと広がる、チリの海岸沿いに住むということは、もっと祝福されるべきことだと思う、と。手付かずの自然と切り立った崖に囲まれた場所は、サーフィンと探検には打ってつけの場所だ。私達はしばらくの間、気の向くままに自分たちだけのベストプレイスを探すことにしてみた。

ラ・キャピターナ湾へと出発し、海岸を下ると、最西端ではじめてのサーフ・セッションが始まった。波は小さく穏やかで、ビーチで過ごす最高の休暇であるとともに、何より楽しかった。

陸へ戻ると、「Huilliches」と呼ばれるマチュピチュのコミュニティと行動を共にすることになった。彼らは、釣り、ダイビング、そして貝を集めることに日々の時間を費やしているという。キャンプファイヤーの周囲に集まった漁師やサーファーたちは、やがて同じ言語で話し始めた。彼らは海を愛する気持ちを分かち合い、心をひとつにした。私たちはみんなそれぞれ、各々が思う海に対する愛情を持っており、それをすごく大切にしているのだ。



航海は続く。私たちは翌朝目を覚まし、南部へと向かうため新しい友人たちにさよならを告げた後、旅の途中で海の端にある自然保護区のビーチを見つけた。そこで再びアンカーを下ろして探検することに決めたのである。

海岸に上陸し、うっそうと茂った植物をかき分けて歩いていると、砂浜があらわれその奥に見える海に幾何学的な小島を発見した。それは、強い風によってさまざまな変貌を遂げた木々からなる島のようだった。
最初の停留後、私たちはサーフィンを楽しむには絶好の波に後ろ髪を引かれつつも、カレルマプを通ってプエルトモントへと引き返す。しかし、ふたつ目の誘惑ともいえるコロナ灯台を見て、もう一度だけサーフィンに出かけることを決めた。



旅に出よう。そして、自分たちが築いてきたものを振り返ってみよう。私たちの旅の軌跡は新たな可能性といえるだろう。このOdysseyの旅は、波のように打ち付ける時間の中の「瞬間」とも言えるもので、新しい思い出を作り出すチャンスを与えてくれ、私を幸せでいっぱいに満たしてくれるものだった。

瞳を開くと、私は家にいて、まだ『Sperry 7 SEAS』を履いている。そして今、私はこの旅で踏みしめた地面とその歩みを昨日のことのように思い出している。クリスティアンと私は、写真とビデオでこのOdysseyを振り返ると、すぐに次なる冒険に向けてのリサーチと計画を始めていた――。

“Odysseyは、あなたを待っている。”


2017年9月25日

ADVENTURES OF THE CREW

クルー達の冒険