海を愛するダニエル・カポネット(Daniel Caponetto)のOdysseyは、北大西洋から赤道太平洋を進む船旅。彼は常日頃から船長として必要なリーダーシップと、ナビゲーション力を手に入れたいと思っていました。この旅はそんな彼に自分の能力を信じることの大切さを教えただけでなく、何事にも恐れる必要がないことを証明したようです。
「このOdysseyについて僕は具体的な想像ができなかった。ただ僕が知っていたことは、北大西洋から赤道太平洋を進む航海になるということだ。いかにこの旅を楽しみにしていたかは言葉では表せないほどだったし、Sperryがくれたこの機会にとても感謝したね。同時に、とても緊張もしていた。まったく何が起こるか予想がつかなかったからさ。
メイン州の波止場でクルーと初めて顔を合わせ、素敵な船へと乗り込んだ。クルー全員が打ち解けるのにそんなに時間はかからなかったな。僕にとって、ニューイングランド地方を航海するのは初めての体験だったので、景色を心から楽しむことができた。メイン州の凛とした美しさは、僕の心をリラックスさせてくれたよ。
初日の日没前には目的地にたどり着き、錨を下ろすことができた。風が少し強くなってきていたので、極寒の夜に備えて着込むことにした。船長のHugh(ヒュー)が、船がしっかりと同じ場所に泊まっているかを確認するために2時間交代で夜の見張りをしようと提案をしたので、僕には朝の2時から4時にかけてのシフトが割り振られた。とても寒かったのだけれど、数枚のブランケットにくるまり、デッキの上で本を読んでいると、安らかな気持ちになることができて、暖かく感じた。星や惑星が北の水平線から登っていき、水面が反射して光る様子はとても美しかったな」
「次の日の朝は、とても素晴らしい1日の始まりだった。起床し、みんなでコーヒーを飲んでいると、どこからともなく突然ロープが現れたんだ…!船長のヒューと、彼の親友ロブの仕業だ。スピネーカーポールとマストの高い部分にロープをくくりつけ、即席のブランコを作り上げてしまったんだ。このブランコにチャレンジする時、もしこの海に落ちてしまったら、水はどれだけ冷たいことだろうと想像して怖くなってしまったが、自分のワクワクする想いに従うことにしたんだ。
すると、想像通り素晴らしい体験になった。チャレンジすることによってクルーみんなの結束力も強まったんだ!コナーは遠くまで飛んで行ったし、アリエルとクリスティーナはとってもかっこよかった。アレックスなんか一周してしまったくらいだ。そういえば、アリエルとコナーは同時にブランコにしがみついていたっけな。しばらくしてから、僕たちは再び船を進めることに決めた。錨をあげるのに少し苦労したのだけれど、無事に作業は完了し、進み始めた」
「ロブスター用のトラップを避けるようにジグザグに進むのはとても楽しかった。途中、少しぶつかりそうになりながらも右へ左へと進んだんだ。しばらくすると、ロブスター漁師が僕たちの近くにいることに気づいたので、『ロブスターを売ってくれないか!?』と叫んでみた。
漁師いわく、『今はお金よりも、人手が必要なんだ』とのことで、僕たちは彼の仕事を少し手伝うことにした。なんてラッキーな交換条件だったことか!コナーと僕が船に残り、落ち着いて日没を観賞できるビーチを探している間、クリスティーナ、アリエル、アレックスの3人はロブスター漁を手伝った」
「1〜2時間ほどしてアリエル、アレックス、クリスティーナがバケツいっぱいのロブスターを持って帰ってきた。その頃には僕たちも料理をするのに最適な場所を見つけていた。火を起こし、石を積んでかまどを作っていると、夕焼けが訪れ始めた。人生の中でもっとも素晴らしかった時間の一つだと言えるね。ロブスターはとてもおいしく、日没は美しかった。大切な友人となったクルーたちと素晴らしい時間を過ごせたんだ」
「翌日、安全性を考えてモンヒガン島(Monhegan Island)へと向かうことにした。コナーは目的地のことをよく知っていたので、新しい場所にたくさん寄ることができるルートを選んでくれた。4分の1ほど進んだところで帆がブームの部分まで戻ってきてしまうという問題が起こったが、ラッキーなことに僕たちクルーは海に落ちないで済んだ」
「充分な燃料を積んでいたので、帆を直すよりも先にそのまま旅を進めることにし、朝には目的地に到着することができた。揚げ網を掛ける金具に問題があるということがわかり、そのパーツを持っている人がいないかあたり一面を探し回った。幸いにも、モンヒガン島の住民が、まさにぴったりなパーツを持っていたんだ!人々の優しさに感謝するとともに、島の美しさにも息を飲んだ」
「船に戻り、帆を直すためには誰かがマストに登り、金具を交換して降りてこなければならなかった。僕は背の高い方ではなかったのだけれど、高いところに行くのは怖くなかったし、クルーのために帆を直す役になりたいと思ったので、その役を買って出た。そして、いざ上に登ってみるとそこからの景色は信じられないほど最高だった!金具の交換を終え、モンヒガン島の美しさを写真に収めることができたし、クルーの姿を鳥の目線から捉えることもできた。この経験は僕の想像以上のもので、自分と友達を信じることができれば、“人生において不可能なものは何もない”ということを学んだ。これは僕のOdysseyにおけるメイン州でのハイライトだよ。さらに帆を進め、このクルーたちとニカラグアへと進む自信が湧いてきた」
「ニカラグアへの進路は素晴らしい始まりになり、この貴重な旅の礎になった。カメたちが列を成して泳ぐ所を見れたし、中には卵を守っているものもいた。サーフィンにスピアフィッシング、シュノーケリングまで楽しむことができたよ。さらには、野生のホエザルを観測し、地元の住人たちは人生で一番美味しいセビーチェを食べさせてくれたんだ!僕はこの旅のおかげで、海と繋がる方法はたくさんあるということを学んだ。そして同時に、自分という人間のさらに深い部分に気がつくこともできたんだ」
「ニカラグアは毎日が試練の連続で、僕の個性と船長としての能力を引き上げてくれた。中でも、素晴らしい航海士のコナーと共に日々を過ごせたことに感謝している。彼は歴史的な知識もメカニックの知識も持ち合わせていて、とても頼りになる存在だった。対照的に、僕は経験も乏しく、与えられた仕事をこなすことで精一杯だったけれど、この経験から色々なことを得たいという想いだけは人一倍強かった。たくさん失敗もしたけれど、知識や経験を増やすことができたし、そのための失敗は許されるものだということを学ぶことができた」
「サーフィンができるスポットを探しながら航海を続けていると、ストームがまさに巻き起ころうとしているところに出くわした。ある種とても美しく見えるが、同時に恐ろしいものだ。そんな時、アリエルの様子がおかしいことに気づいた。彼女は普段とても強い女性なので、その時まで彼女の健康状態がよくないことに気づかなかったんだ。クルーの健康と安全を守ることが最善だと思った僕たちは、近くの安全な波止場まで進路を戻すことにした。コナーとアレックス、僕が帆を下ろし、海岸線の近くまで可能な限り近づけるようにしている間、クリスティーナはアリエルのそばにつき、彼女の健康状態を常に気づかっていた。途中、石にぶつかることもあったが、アリエルの回復を待てる安全な場所を見つけることができた」
「このアクシデントは思いもよらないことを与えてくれた。次の日、錨を下ろしたそばで、まさにサーフィンに最適な波が起こっていたんだ。他のクルーが戻ってくるまでの間に、アレックスと僕は素晴らしい波を楽しむことができた。決して“最高の波”と呼べるコンディションではなかったけれども、ニカラグアという土地の誰もいないビーチでアレックスとサーフィンをすることができたんだ。なんて最高なアドベンチャーだったんだろう。気がつけば、この航海中、アレックスはいつも僕の幸せを倍にしてくれる素晴らしい友達だった。
このOdysseyも終わりに近づき、僕たちはビーチのバーで飲みながら、アレックスが捕まえた魚で作った美味しいセビーチェを楽しんだ。僕たちは素晴らしい時間を共に過ごすことができ、なんて奇跡的な出会いをしたのだろう! この旅での話に花を咲かせながら美しすぎる夕焼けを眺めた。たった2週間前まではお互い他人であったことが信じられないくらいだ。これ以上にない仲間たちと人生で一番の体験をシェアできたことが幸せだ。すでに次の旅が待ちきれないよ!!」
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